1.パーキンソン病とはどんな病気
パーキンソン病は、自分の意思で身体を動かすために必要な神経伝達物質「ドーパミン」が不足し、脳の指令が身体にうまく伝わらず、手足のふるえ、動作が緩慢になるなどの症状があらわれます。
日本の患者数は人口1万人あたり5人から10人くらいといわれ、神経内科の病気では脳血管障害(人口1万人あたり28人)に次いで多い病気です。
発病は50代から60代に多いのですが、20代から80代までと幅広い世代で発症します。40歳以下で発病した場合「若年パーキンソン病」と呼びますが、病気との戦いだけでなく、仕事や家事、子育てなど生活全般に影響を与え、深刻な問題を抱えることがよくあります。
パーキンソン病は完全に治すことはできませんが、薬による治療でかなり症状の改善も期待できる病気です。
また厚労省の「特定疾患」に指定されています。厚労省の「特定疾患」指定は123疾患ありますが、公費負担になるのは、そのうちの45疾患で、パーキンソン病は45疾患のうちの1つです。
(1)主な症状
パーキンソン病の4大症状として、「体がふるえる」「筋肉がこわばる」「動作が緩慢になる」「体が傾いたり倒れそうになったときにバランスをとれない」があげられます。以下に詳しくみてみましょう。
「体がふるえる」・・・振戦(しんせん)
パーキンソン病では動作をしていないときに強くふるえる傾向があります。
「筋肉がこわばる」・・・筋固縮(きんこしゅく)
患者さんの腕をひじのところで曲げ伸ばしします。そのときに医師がギコギコとかガクガクとした規則的な抵抗感を感じたら、パーキンソン病を疑います。鉛のパイプを曲げているような感じとも言われています。
「動作が緩慢になる」・・・動作緩慢(どうさかんまん)
歩くことをはじめ、すべての動作がノロノロと遅いものになります。歩行する際は歩幅が小さくなりチコチコと小刻みな歩きになります
「体が傾いたり倒れそうになったときにバランスをとれない」・・・姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)
バランスをうまくとることができなくなり、体が傾くと体勢を立て直すことなくそのまま倒れてしまいます。歩き始めると徐々に小走りになって、なにかにつかまらないと止まらない「突進現象」も起こり、日常生活の中で、大きなけがをするリスクがあります。
発症後は、ふるえなどのほかに、突然動けなくなる「無動や寡動」、また足の指が跳ね上がったり、手、足、首などが硬直する「ジストニア」という症状が、痛みを伴い苦痛だと訴える方も多いようです。
若年患者の場合には、比較的、ふるえの症状は少く、無動、寡動、ジストニアなどの症状が多く見られます。そのため、何となく足を引きずるという症状から病気に気づく人もいます。
その他にも以下の症状がみられます。
自律神経障害(じりつしんけいしょうがい)
自律神経の障害のために、
- 便秘
- よだれ
- 汗をよくかく
- 手足のチアノーゼ(皮膚が青紫色になる状態)、むくみ、冷感
- 低血圧。とくに急に立ち上がった時に血圧が下がり、ひどいときは失神したりします。
- 排尿困難。完全に排尿しきらない(排尿障害)や、尿の回数が増える(頻尿)
- インポテンス
などの症状が起こります。
精神症状
気分が滅入り、なにごとも面倒くさがりになります。依頼心が強くなる場合が多いようです。パーキンソン病になったことで落ち込むからですが、パーキンソン病自体の症状でもあります。記憶力の低下、不眠の訴えも多く出ます。
その他
- まばたきが少なく、仮面をかぶったように表情のない顔つき(仮面様顔貌)になる
- 小声で単調な抑揚のない話し方(構音障害)になり、言葉の最後の方が小さくなり、口の中でもごもごとした話し方をするようになる
- 食事を噛んだり、のみ下すことが難しくなる(咀嚼、嚥下障害)
- 字に力がなく小さく、書くにしたがってますます文字が小さくなる(小字症)
などの症状がでることがあります。
(2)パーキンソン病とパーキンソン症候群の違い
パーキンソン病と同じ症状は、ほかの原因でもみられることがあります。これをパーキソニズムやパーキンソン症候群と呼んでいます。パーキソニズムを呈する疾患としては、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)、脳炎の後遺症、脳腫瘍、脊髄小脳変性症などの脳障害や、薬の副作用、一酸化炭素中毒などがあります。
いずれにしても、
- 手足が自然にふるえてくる。親指と人差し指で丸薬をまるめるような動作がでてくる。
- 普通に歩いているつもりでも、他人よりも遅れることが多くなってきた。
- 動作が鈍くなり、簡単なこと(シャツのボタンをはめる、など)が、うまく行えなくなってきた。
などの兆候がみられたら、いちど神経内科の医師に相談してみましょう。
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