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介護事件の深層

訪問現場における利用者強殺事件

(2)家政婦として働いていた家へ侵入

 事件の発生は、平成18年10月のこと。被告は、かつて家政婦として働いていた被害者Aさん宅を訪れます。多額の借金を抱えていた被告は、窃盗目的でAさん宅の敷地に足を踏み入れました。被告は家政婦として働いていた時点からAさん宅に多額の現金があることを承知しており、仕事中だけでなく、家政婦を辞めてからも何度かAさん宅に侵入し、数回にわたって窃盗を働いていたのです。

 その日は外から声をかけてみたところ、Aさん本人の声で返事がありました。被告はAさんが在宅であることを知り、「近くまで来たので」と告げて帰ろうとしました。

 ところが、利用者から「上がっていきなさい」と勧められます。その後、世間話をしている間、被告は「Aさんがトイレに行くなどの隙を見せたらお金を盗もう」と考えていましたが、その気配がないため思い余って「お金を貸してほしい」と申し出ます。

 Aさんは、被告が「借金目的」で家に来たことに気づき、態度を豹変させます。被告に対して厳しい言葉を投げかけ、それをきっかけに両者は激しい口論となります。

 被告は、「ののしられて感情が高じていたこと」と「どうしてもお金を持って帰らなければならない」という思いが渾然となって、車椅子に座っていたAさんを床に突き落としました。そして、そのまま近くにあったタオルでAさんの首を絞めたのです。

 Aさんを殺害した後、被告はそばにあったAさんのバッグを持ち出します。まず、バッグの中にキャッシュカードがあることを確認し、ATMで現金を引き出そうとしますが失敗。被告はあきらめ、家にバッグを持ち帰りますが、帰宅後にバッグの底に約50万円の現金が入っているのを発見しました。

 被告はその盗んだ現金をもって滞納していた公共料金を支払い、知人からの借金を返済、加えて息子への送金にあてています。さらに、「殺人を犯した」という現実から逃れるため、妹を呼び出して外食をしたりカラオケを歌うなどして、時間を過ごしたといいます。

 その後、被告は盗んだキャッシュカードを裁断するなどの証拠隠滅を図りますが、ATMの防犯カメラと被害者の交友関係から被告が容疑者として浮上。犯行からわずか10日あまりで逮捕へと至ったのです。

 

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