けあコミュニティ > 介護のお話 > 全国けあ最前線 > NPO/5.オムツを減らそう市民の会 田中とも江さん

サイトマップ
お問い合わせ

けあコミトップへ 介護のお話  

全国けあ最前線

全国けあ最前線/NPO(5)

「オムツを減らそう市民の会」

田中とも江さん

田中とも江さん写真
お年寄りが少しでも快適に暮らせるようにしたい
と語る田中とも江さん

 介護されるお年よりの多くの人が、現在おむつを使っています。寝たきりになったらおむつをつけるのは「当たり前のこと」「しかたないこと」という世間の常識に「ちょっと待って!」と声をあげた人々がいます。

 オムツは本当に必要なのだろうか。もし必要な場合であっても、お年よりの気持ちを十分に配慮して使われているのだろうか。できれば使わない方法はないのだろうか―――。「オムツを減らそう市民の会」の人々は福祉現場の根底を揺り動かす問いかけをはじめました。

 しかし、もはや世間の常識になってしまったものを変えるには多大なエネルギーが必要になります。それでも「今私たちが声をあげなければ何も変えられない」と、高齢者の立場にたったオムツに頼らない在宅療養介護を目指し、一歩足を踏み出した「オムツを減らそう市民の会」の活動について田中とも江さんにお話を伺いました。

オムツはつけるのはつらい

 「オムツの不快さは、体験したことのない人には絶対わかりません。すぐに取り替えてもらえるとは限りませんから、冷えると寒いし、歩くと重い。座ればぬれ座布団ですよ。あれはつらい!」田中さんは、オムツをつけている状況をすごい勢いで代弁します。「考えてください。一度つけられると死ぬまで続くんですよ」。

 しかも、オムツのつらさは肉体的なことだけに限らない、と言います。

 「排泄はお年寄りにとって日常生活において大切な自立の因子です。それを人に頼らなければいけないということは、あきらめながらも、恥ずかしさから自尊心は傷ついています。誰でもできればオムツなんて付けたくありません。現在の利用者のなかでも、工夫次第で、オムツをはずせる人がたくさんいるはずです。」

 また、田中さんは、家庭でも施設でもオムツがあまりに安易に使われていることを見直すとともに、もっとプライバシーの配慮がされていいのでは、と話します。

 「毎日のことですから、介護するほうも細やかな配慮が次第に薄れていきます。とくに病院など集団生活の場ではそれが顕著にあらわれます。

 これまでも医療関係者や介護用品メーカーなどが、高齢者の自立に向け、それぞれの立場で、排泄ケアに取り組んできました。それでも個人においても病院のカンファレンスでも排泄プランはまだまだ少ないですね。この状況を改善するためには、“オムツは当たり前”という発想の転換が必要です」。

 
このページのトップへ

不要なオムツは身体拘束につながる

 田中とも江さんは、日本の介護現場における抑制廃止運動の先導者のお一人です。

 転倒を防ぐために、体をベッドや車いすに縛って固定したり、オムツを脱がないように、鍵付きの服を着せるという、医療や介護の現場では“常識”とされていた「抑制」を廃止する牽引力になり、日本の医療に対して大きな一石を投じたことは有名です。

 総婦長の立場だった田中さんは、「私も老人になったとき、縛られたくない。私の親も縛られたくない。ならば患者も縛りたくない」との強い意志で、ひどい中傷批判を受けながら、孤独で地道な試行錯誤を積み重ね、抑制はしなくても看護はできることを、事実の上で実践してみせました。

 その取り組みは、やがて日本中にひろがり、国がとりあげ「原則として抑制をしない」という政策にまで、発展させていったのです。

 この“一人”の真剣な取り組みが、周囲の心を動かし、ネットワークに育ち、ついには国をも動かしていくという姿は、介護を良くしたいと真剣に考える人々に希望を与え続けています。

 その田中さんが次のテーマとして取り組み始めたのがこの「オムツ減らし」。

 「不要なオムツは身体拘束につながります。オムツを気にしなくてよければ、活動的な生活ができるんですよ。そうなれば楽しいじゃありませんか。さまざまな立場の人たちが力を会わせて、お年寄りが少しでも快適に暮らせるようにしたいですね」。

会の活動

2002年6月に開催された発起人会
2002年6月に開催された発起人会

 この会の発起人会が開催されたのは昨年の6月。これから本格的な活動が始まる段階です。

 「会の目的は『人が人らしく快適に暮らせるために、オムツの着用をしない、オムツの使用することも少なくする。オムツの着用時は快適化する』ことにきめました。その実現のために、“一般に排泄ケアやオムツに関して、排泄の自立への研究、啓蒙”“排泄ケアに関しての研究・方法論を明確にし、提言していく”そして“政策的に診療報酬に関しての具体的アプローチ、データ化する”ことを考えています。

 具体的には、排泄ケアは100件のケースがあれば100件とも状況は違いますから、在宅介護を支えながら、施設に向けて情報を発信する教育活動をしながら、ボランティアの育成をしていきたい。

 オムツをなくすわけにはいきませんからオムツの改良も考えていきたいですね。もちろん排泄ケアに関する行政の考え方を変えていくことも視野にいれています。

 この会の対象者は、排泄に不自由を生じる可能性のある人、障害を生じた人、排泄障害に対して介護に携わる人、介護に携わる可能性のある人、ようするに誰でもが対象者になります。」

 会として、シンポジウムや機関誌の発行、セミナー、講演会が企画されています。

 「皆さんいっしょにやりましょうよ。介護の質をあげるためには、市民が声をあげて訴え続けることが大切なんです」と最後に田中さんが話した言葉が印象的でした。

(2003年2月掲載)

「オムツを減らそう市民の会」
東京都新宿区愛住町20 愛住ハイツ404
TEL:03-5366-2184

前へ

目次

次へ


このページのトップへ

個人情報保護方針 サイトのご利用条件
Copyright(c) 2000-2009 eCraft Inc. All Rights Reserved.