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樋口恵子代表
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介護保険がスタートして満2年。「消費者が介護を選び、買う」という新たなシステムが社会に定着し、介護がようやく社会全体の問題として考えられるようになってきました。しかし「女性が親や夫の介護をするのは当然のこと」という不文律の伝統が深く根付く日本で、介護を「社会の責任」とする制度が生まれるまでには、多くの女性たちの真剣な取り組みがありました。
「介護は家庭で」という今から20年前、「高齢社会をよくする女性の会」が発足。以来、地道な活動を積み重ね、周囲に波動を起こしながら、この会は力のある提言団体として高齢社会を方向づける牽引力の一つになってきました。「介護保険料・給付」の実施3年後の見直しに向けて、厚生労働省で審議が始まっている今、介護保険制度の評価と合わせて「高齢社会をよくする女性の会」の活動について、代表の樋口恵子さんにお話を伺いました。
■男女ともの自立を目指す
「高齢社会をよくする女性の会」の個人会員は現在1500名あまり。そのメンバーが地域の核になり「シンポジウム」「勉強会」「アンケート調査」などを行い、望ましい高齢社会を女性の視点からの提案で実現しようと、全国で活動を繰り広げています。
「女性たちは、自分自身の老いに出会う前に、親を、舅姑を、夫を看取り、そして、より長く孤独な老いを生きる立場にあります。女性のみが介護の役割を担っている現実は、それはそのまま女の老後が年金や資産、就労機会の乏しい貧しさに悪循環していくことを意味しています。高齢社会は、また女性の自立ばかりでなく男性の自立も問われる社会です。生活者としての自立を女まかせにしてきたツケは、男性の老後を貧しくします。」と趣意書に書かれるように、この会では男女ともに自立することを目的の一つとし、現在30名の男性会員も加わり、パートナーとしてともに高齢者問題に取り組んでいます。

■介護問題は女性が主役
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約1500名の会員が全国で活動を展開
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「男性会員もいることですし、あえて女性の会としなくても良いのですが、“女性”と名付けたことに私たちなりのこだわりがあります。やはり高齢者問題は、制度からみても、実態からみてもより多く女性の問題と言っても過言ではありません」と樋口さん。樋口さんは高齢者問題の当事者である女性が、今のように政策審議の席に参加できなかった時代から、先駆者として後に続く女性たちのために道を切り開いてきました。
「日本の男女の平均寿命を見ると、1999年時点での平均寿命は、女性が84歳、男性が77歳と7歳の開きがあります。この差は2050年には9歳にまで広がり、今後広がることがあっても縮まることはありません。このように人口の男女差のバランスは高齢期になると崩れて、80歳ではおよそ男女比1:2になります。この実態は「高齢期に配偶者がいるかいないか」という観点から見てもわかります。65歳で比較してみましょう。男性にとっては8割以上が「妻がいる」のですが、女性に「夫がいる」割合は4割に留まります。女性は夫のいる人よりも圧倒的にシングル・アゲインになるわけです。このように老いの影響をより強く受けるのは女性の方が多いのです。
たしかに老いはだれにも平等に来ますが、社会制度などを作る時には、社会的、文化的に性を差別するジェンダーの視点への配慮が大切だと思います。たとえば女性のライフスタイルは大きく変化しているのですから、その変化に対応した社会保障制度が必要になってきます。年金を例にあげると、今、女性の標準報酬月額は男性の半額です。それが年金に反映し、女性の老後の生活は貧しいものになっています。また、30年間結婚していた夫婦が離婚したら別れた妻には基礎年金しか払われないなど、矛盾を抱えています。
女性は長生きしても経済的な貧困という問題に直面する、という現状を変えていかなければなりません。
20年前ウィーンで開かれた国際会議で、日本政府は高齢者が子どもと同居する率が高いことを誇らかに告げました。1978年の厚生白書では「日本における高齢者の同居率の高さは、福祉予算の含み資産である」と記述しています。
「妻や嫁や娘が介護をするのが当たり前」という周囲の目にさらされて「介護地獄」に陥る女性たちは、いまだに後をたちません。また、能力もやる気も十分にありながら介護のために職場を去る「介護離職」の約9割は女性です。その女性たちを見ていると、日本の「含み資産」どころか「含み損」としか言いようがありません。このように高齢者問題は数字上、制度上、そして慣習上、女性が大きな影響を受けている問題なのです」。
■介護保険は『心のバリアフリー』をすすめた
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年8回発行されている会報
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現在樋口さんは介護保険を見直す社会保障審議会の介護給付分科会に、この会を代表して、市民団体、利用者団体の立場で参加しています。2年を経過した介護保険制度について感想を伺いました。
「国が制度を作るということは、たいへん大きな力になります。この制度は介護を国が支える方向性を示しました。措置の時代は、対象者は心のどこかに負い目を持ちながら利用していました。しかし介護保険は、117条5では「被保険者の意向を反映」という画期的な条項に象徴されるように、利用する人とされる人が対等の関係です。「対象者」から「利用者」へ。その意味で『心のバリアフリー』を進めたのではないでしょうか。介護保険はこれから実態に合わせてどんどん成長させていく必要があります。そのためにも女性をはじめ市民一人ひとりが、しっかりと自分の立場で声を届けていくことが大切だと思います」。
(2002年5月掲載)
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