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老親介護で一番大切なことは何か?と聞かれたら、介護者自身の健康を良好に保つことであると答える。介護者は疲れ果てて倒れてはいけないということだ。
介護者が疲労やストレスで病気になったら、老親の世話をする人がいなくなるだけでなく、ベッドが二つになり手間も費用も倍になってしまう。
このことは講演でも本でも、口を酸っぱくしていってるのだが、悲しいかななかなかわかってもらえない。
A子さん(58歳)は同居している姑(88歳)の介護を「体の弱っている人や助けを必要とする方に手をさしのべるのは当然のことですもの」と、誠心誠意、世話をする心やさしい私の友人である。
姑はそれをよいことに自分でできることもA子さんにやらせ、「昔から嫁は姑に仕えて当たり前」と、訪ねた私にまでしゃあしゃあと言う、小憎らしい婆さんだ。
ただでさえ嫁使いの荒いその姑が骨折で入院すると、病院の食事が口に合わないから「あれを煮てきて」「これを買ってきて」とわがまま放題に言う始末。
それでも「病人だから、人寂しいからよ」と姑の用を優先して病院通いをしていたA子さんが、ある日、気が付いたら病院のベッドで点滴を受けていたという。
疲労とストレスで失神したのだ。私が駆けつけた時、医師が「もっと自分を労ってください」と言っているそばで姑は「体が弱い嫁で困る」とうそぶいた。A子さんはこの期に及んでも「痴呆が言わせるんだから怒らないで」と、私に言ったものである。
「バカ言ってる場合じゃないのよ。倒れたのが病院だからよかったものの、運転中や道路だったらどうするのよ」と、私はつい声が大きくなった。
今後は「自分の体を優先して、食事もきちんととること」「疲れきる前に横になること」「ストレスを溜める前に町に出て気晴らしをすること」を約束させた。
介護者の健康を保つことが結局は良い介護につながるのだ。
犠牲的精神もこの場合は美徳ではなく有害であると肝に銘じてほしい。
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