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母のアルツハイマーが宣告されてから5年目に突入した日。つまり平成18年7月31日のこと。私が私自身へ『よく頑 張った・踏ん張ったで賞』を贈呈しようと考えた。
石の上にも3年。確かに、10年単位で在宅介護を継続されている介護者が多く存在することは認知している。しかし、男手?一つで丸々4年間、母を在宅で支えてきた。
デイサービスから帰宅するのが午後4時半前。つまり、それまでに帰宅していなければならない。だから、夜の街には一度として出ていない。母の失禁が始まって以降の禁酒も継続中。これは、母を叩いたり蹴ったりしたことへのペナルティーの意味も含まれている。この原稿が掲載される頃も禁酒が続いていれば2年が過ぎる。
さて、ここで少し逸れる。
最近、介護者である中年男性が、被介護者である実母や実父を殺める事件が続発しているような気がしてならない。私にとっても他人事ではないのだ。
その殺める男性は決まったように無職。この「殺める」という行為の背景には、複雑な人生模様が隠されているに違いないと想像するのは私だけに限らないはずだ。
介護することだけでも大変なのだが、中年、言葉を換えれば働き盛りでもある男性が無職。この環境に対して世間の目はスコブル厳しい。私とて資格を必要としないライター業だから、いつ無職に転がり落ちても不思議でない環境。改めて記すが、この「殺める」という行為は私だけでなく、少なくない介護者には他人事でなく、自身の胸中でスコブル恐怖しているに違いない。
話を戻す。
介護地獄を彷徨いながらの4年間はシビレルほど長かった。これから一体、いつまで続くか全く不透明な私たち母子の在宅介護最前線。一区切りつける必要もあった。
『よく頑張った・踏ん張ったで賞』の賞品はささやかなモノだった。私がとても大好きな歌手のCDを買いに行った。以前から欲しかった。金4000円なり。ショップの棚からお目当てのCDを迷うことなく抜き取り、レジへ向かおうとした。その瞬時、どこからか?誰か?私に囁いてくる。
「よーく考えよ。その4000円にあと少し足したら、和ちゃん(母)の尿取りパッドが買えるんで、ケースごと。1ケースいうことは、30枚入り一袋が8袋も!もう一度、考え直してみんか?」
レジの少し前で立ちすくんだ。私の脳裏に、母の笑顔・泣き顔・怒った顔。いろんな表情が通り過ぎてゆく。
廻れ右。私はCDを棚に戻した。在宅介護。出費は半端ではないのだけれど、それとは別に、この4年間で貧乏神が私に取り憑いたらしい。
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