コレクティブ・ハウス
「ソッケン・スチューガン」2
第2回は入居者の様子について ご紹介します。
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職業や個性はバラエティにとんでいる方が楽しい
現在、「ソッケン・スチューガン」には、40才から77才までの48人が暮らし、その3/4が女性です。また、大半の人が現役で仕事を持ち、ここから毎日、仕事場に通っています。
「たくさんの入居希望者が順番待ちしています。先日も、日本人女性が入居したい、と訪ねてきました。皆で男性の希望者を優先して入居させようと決めました。施設内はひとつの社会として成り立っていますから、男女のバランスがとても大切なんですね。大工仕事や力仕事は、やはり男性の方が得意な人が多いですし、男性が多いと何かと助かります(笑)」。
同じ理由から「職業もバラバラの方がいい」とシャスティンさん。
実際に、化学塗料の会社に勤務する人、大学教授、港湾労働者、市の人事・雇用関係担当者、医者、画家、ジャーナリスト、電話局勤務者、看護師、コンピュータコンサルタント、自閉症のホーム勤務者や、翻訳家など、入居者の職業はバラエティに富んでいます。
「ひとりひとり得意不得意が違います。これは社会にとって、とても重要なことです。ここには個性の強い人が集まりましたが、人間関係はとてもうまくいってます。このような一種の団体生活に向く人は、皆の仲間になって楽しめる人でしょうね。今後の一番の課題は、入居者の年齢の分散でしょう。いっせいに年とってみんなで動けなくなったら困ります。これからは若い人をどんどん入れていきたいですね」。
豊かな文化を感じさせる入居者の個室
数人の入居者の方が「私の部屋を見て下さい」と私室を案内してくださいました。1部屋タイプと2部屋タイプがあり、広さはまちまちですが、どの部屋もまるでインテリア雑誌に登場するような素敵な部屋ばかりです。
鮮やかな色のソファーと北欧のシンプルな家具をコーディネートし、好きな本やレコードに囲まれて暮らすダンディなエリックさん。マホガニーの家具やブロンズの置物で重厚な雰囲気の部屋を好むイングリットさん、手作りのクッションや家族写真が自慢のバーントさん…。どなたも人生感がそのままうかがえるような個性豊かなインテリアを楽しんでいます。自分が心から大切だと思える物だけに囲まれて暮らす、これも共有部分が充実しているコレクティブハウスならではのことでしょう。
付き添ってくださったシャスティンさん曰く「お見せしたいというのは、とくにインテリアに自信のある方ばかりですけどね…(笑)」。
それでもスウェーデンの高齢者の生活を垣間見る貴重な体験になりました。

自分たちが作る「老いの住みかの形」
「ソッケン・スチューガン」への入居理由は、もうひとつのコレクティブ・ハウス「フェルド・クネッペン」と同様「仲間が欲しければいつでもそばにいる。また、一人がよければ一人でいられる」「年をとってくるとともに、いつでも手を差しのべてもらえるという安心感が欲しくなってきた」というものが大半でした。
現在、スウェーデンでは需要に応えて、このようなコレクティブ・ハウスが、どんどん作られています。
日本の老親と子どもとの同居率は52パーセント(1997年の国民生活基礎調査)ですが、スウェーデンでは約4パーセント(1988年)です。高齢になったら親が子の面倒を見るという文化を持たないスウェーデンの人々にとって、老後を誰とどのように暮らすかは、自らが選び取る重要な課題なのかもしれません。
コレクティブ・ハウスで暮らすということは、まだ若く現役で働いている人たちにとっては、けっして広くはない個室で暮らすことであり、制約の多い住み方なのではないでしょうか。
しかし、スウェーデンの人々は、年をとってから老後を考えるのではなく、人生の半ばの元気な時に、人生の後半をどこでどのように暮らしたいかを考えています。そして、自分に合った「住む場所と住まい方」を考え、自分たちで築きあげていきます。老後に対する国民の視点の確かさと同時に、それに対して行政が応援体制を整えていることに福祉大国の底力を感じます。
最近、日本でも「コレクティブ・ハウスを考える会」などが発足し、取り組みが始まっています。コレクティブ・ハウスの底流には「血縁で結ばれない新しい家族の絆」があります。結婚しない男女が増え、少子高齢化時代を迎える日本においても、スウェーデンのコレクティブ・ハウスは「新しい老いの住みか」のひとつとして、おおいに参考になるのではないでしょうか。
(2001年3月掲載)
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